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みえるもの・みえないもの
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たまたま、読んでいた本の中に、

荘子の引用があったので載せておきます。

古い大きな役立たずの木について

書いてありました。


大工の匠石(石の名工)が旅の途中、

社のそばにある櫟(クヌギ)の大木を見た。

匠石は、その櫟に感嘆している弟子に、「これは無用な木だ。

船をつくればすぐにくさってしまうだろうし、

道具をつくればこわれてしまうだろう。

この木では、何も有用なものがつくれない。

だから、こんな古木になったのだ」といった。

しかし、その夜、宿屋で眠りにつきかけると、

匠石の夢に櫟の古木が現れて言った。

「お前はどうして、私を、さんざし、梨、橘、りんごなど

実のなる木と比較したのだ。

それらは実が熟さないうちにさえ、

人間に攻め荒らされてしまう。

大枝は折られ、小枝は裂かれる。

自分たちの長所が自分自身に害をなしていて、

天寿を全うできない。

これはあらゆるところで生じることで、

このためにこそ私はまったく無用であろうと、

長年のあいだつとめてきたのだ。

愚かな人間よ、もし私が何らかの点で有用であれば、

これだけの大きさになり得たであろうか。

そのうえ、お前も私も自然の創造物に過ぎない。

たんなる創造物がいかにして、他の創造物より上に立って、

その価値判断を下せるのか。

お前、無用な人間よ、

お前が無用の木について何を知ることがあろうか。」

大工は目覚め、その夢について想いをこらした。

弟子が、どうしてこの木が社の保護につとめているのかと

彼にたずねたとき、彼は「だまれ、何も言うな。

その木はここに意図してはえているのだ。

もし他の場所であれば人間がよくは取り扱わなかっただろう。

もしそれが、社の木でなかったならば、

切り倒されていたかも知れない。」と言った。

(荘子「人間世篇第四」より)


クヌギってそんなに役に立たないか?日本では、里山の代表的な

木として役立ってきたじゃないか。とつっこみを入れたくなりますが、

そうそれは、ついこの間までの日本のお話。

このお話は、紀元前の中国のおはなし。

感想はいろいろあるが、あえて書かないのです。

書くとすれば、この本は、二束三文で売られるはずだった

祖父の蔵書の中の1冊。

これはあらゆるところで生じること。




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